ホイアン・ランタン祭り〜前夜祭が魅力的な理由

世界遺産ベトナム中部の古都ホイアン。

この町がもっとも幻想的な表情を見せるのが、満月の夜に開催される「ランタン祭り（ホイアン・フルムーン・フェスティバル）」である。

今回の旅で、ランタン祭りの当日と前日に宿泊してみた。すると意外にも「前夜祭」のほうが、私の記憶に残る印象的なものになった。

ホイアン歴史地区

古都ホイアンは、トゥボン川の下流に位置する古代都市。ダナンから南へ30キロ離れた場所に位置する。

世界文化遺産に登録された街は、黄色に塗られた外壁の家屋に、色とりどりのランタンや花々が飾られ、昼も夜も多くの観光客でにぎわう。

そして夜にはランタンに明かりが灯されて、街全体が幻想的な雰囲気に包まれる。これはランタン祭りに限ったことではなく、毎晩祭りが開催されていると言ってよい。

修復期間を経て、来遠橋（通称:日本橋）がお披露目されていた。日本人が架けたと言われる来遠橋は、この歴史地区のシンボルにして最大の見どころである。橋全体がお寺になっていて、礼拝する観光客の姿も多く見られた。

祭り前日の夕暮れ時、色とりどりのランタンに灯がともされ、街全体がほんのりとした光に包まれていく。トゥボン川沿いには、写真を撮影する観光客が集まり始める。露店の屋台からは音楽が流れ、音と光のショーが繰り広げられる。想像以上に騒がしい、それでも華やかな前夜祭の雰囲気がとても印象に残った。

そしてランタン祭りの当日。昨夜とは明らかに様相が変わり、街は静かでほどよく薄暗く、やんわりと川面に反射する建物の灯りが美しい。絵本の中を歩いているような幻想的な世界。やがて街の不要な電灯が消され、ランタンの灯りが頼りの夜が始まる。

一方で観光客の数は昨夜よりも増え、あたりは混雑を極める。昨夜のような華やかなお祭り騒ぎとは違って、街の雰囲気を人混みの喧騒が壊してしまっているように感じた。どこか落ち着かない面持ちになるのは、これもオーバーツーリズムの問題なのかもしれない。

トゥボン川に浮かぶ無数の灯篭やボートの光景が、とても美しいものだったことに間違いはない。それでも私は「前夜祭」のほうが好みである。ライトアップされた街並みと音楽と人々の穏やかな笑顔。お祭りそのものを楽しむには、当日よりも前日のほうがホイアンの魅力をバランスよく感じ取れると思った。

ホイアンのランタン祭りに、ツアーで参加される方も多いことと思う。残念ながら、祭り当日を含むツアー代金は高めに設定されている。実際のところ、ランタン祭り当日でなくとも、ホイアンの美しさや華やかさは充分味わえると思った。

ランタン祭りの様子を動画に残しましたので、ご興味のある方は参考にしてみてください。