中世ボヘミアの街並みを残すチェスキー・クルムロフ城と聖ヴィート教会

チェスキー・クロムロフの街並み

チェスキー・クルムロフは「世界で最も美しい街」と称えられ、ある時は「眠れる森の美女」とも例えられる。左にチェスキー・クルムロフ城、右にゴシック様式の聖ヴィート教会が見える景観は、なんともロマンチックな街並みである。

チェコの首都プラハから、バスで2時間。ヴァルタヴァ川に囲まれた世界遺産の街を訪れた。

チェスキー・クルムロフ DATA
・面積 2217㎢
・人口 12,000人
・ベストシーズン 5月〜9月

チェスキー・クルムロフ

チェスキー・クルムロフ城

チェスキー・クルムロフは、チェコの南部ボヘミア地方にあり、ヨーロッパの古都のイメージがそのまま残されている。低い山に囲まれた街は、流れるヴァルタヴァ川に橋が架かり、緑の木立のなかに赤煉瓦の家々が立ち並ぶ。

街のランドマークになっているチェスキー・クルムロフ城の塔は、川面から約86mもの高さを誇り、石畳のラトラーン通りは、旧市街を南北に走る中世ヨーロッパの街並みを色濃く残す城下町になっている。

石畳の街並み

この街の美しさには秘密がある。13世紀にボヘミア貴族により城が建築されたのち、15世紀に銀鉱が発見され街は大いに発展を遂げる。16世紀に領主がルネサンス様式に再建。17世紀に神聖ローマ皇帝の手に渡り、18世紀にバロック様式の要素が加えられた。

このようにして様々な建築様式が複雑に混在して、現代の魅力的な城下町が形成されたのである。

世界遺産に登録された理由

1992年にチェスキー・クルムロフが世界文化遺産に登録された理由は、その中世の街並みが非常に良好に保存されており、ルネサンスやバロック様式の建築が見事に調和しているためである。

1. 歴史的な街並みの保存状態の良さ

13世紀に築かれたチェスキー・クルムロフは、14世紀から18世紀にかけて繁栄した。それぞれの時代の建築物が、ほぼそのままの形で残されており、中世ヨーロッパの雰囲気を色濃く残す街として評価された。

2. チェスキー・クルムロフ城の重要性

街のシンボルであるチェスキー・クルムロフ城は、ボヘミア地方でプラハ城に次ぐ規模を誇る。ゴシック、ルネサンス、バロックなど様々な建築様式が融合し、当時の貴族文化や芸術の発展を示す貴重な建造物になっている。

3. 文化的な価値と芸術的影響

チェスキー・クルムロフは、16世紀ルネサンス文化の中心地の一つとして発展し、多くの芸術家や建築家が関わったとされる「バロック劇場(18世紀建造)」は、当時の姿をほぼ完全な形で残している希少な例とされる。

4. ヴァルタヴァ川に囲まれた美しい景観

ヴァルヴァダ川でカヌーで遊ぶ人たち

街はヴァルタヴァ川が蛇行する中州に位置し、自然と調和した美しい景観を形成している。この地形が街の防衛にも役立ち、独自の歴史的発展を遂げる要因となった。これらの点から、「中世ヨーロッパの都市計画と貴族文化が融合した歴史的に価値の高い街」として世界遺産に登録されたものである。

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