ロンドンのホテルもバカ高い。市内で1泊3万円で探すのは至難の業だ。
迷ったあげく、コーチ・ステーション(長距離バス・個人ツアー集合場所)のある、ヴィクトリア駅に近いホテルにした。Expedia評価9点、朝食付きの「ザ・ウィンダミアホテル・ロンドン」。地球の歩き方に紹介されていて、4泊5日10万円に収まった。
1日だけ「ストーンヘンジ」の現地ツアーに参加するので、あとはのんびりしよう。キャッシュレスの最前線、ロンドンの街をひとり散策してみた。結果からお伝えすると、現金ポンドはまったく不用だった。
ザ・ウィンダミアホテル
宿泊した「ザ・ウィンダミアホテル・ロンドン」。ヴィクトリア建築の建物は、160年以上の歴史があるようだ。ホテルとしては、1987年に創業。ロンドンでは、ユニオン・ジャックを掲げる建物が多い。
ホテルというより、木造アパートメントハウスに近い。鋼が使われているだろうが、少し傾斜も感じる。しかし、家族経営ながら多くの受賞歴があり、クチコミ評価もすこぶる良好だ。
セカンドフロアの24号室。部屋はせまく、まるでワンルームアパートの佇まい。ひとり暮らしを思い出す。シングルベッドは、ほどよい硬さ。高い枕と低い枕の2種類が用意されていた。
最小限の調度品がそろい、色使いのセンスも良くて落ち着く。熱湯は出るが、水圧は弱い。ドライヤーは置いてある。冷蔵庫は無いので、長期滞在には少々不便。上階の足音や、隣の物音が聞こえるが、やむを得ないだろう。
朝食無料は、ありがたい。ホテルによっては、朝食5,000円なんて普通にありえる。
ただし、ビュッフェではなく、イングリッシュブレックファスト。勝手がわからず、英語メニューから選ぶのに苦労した。しかも、席は事前予約制だった。予約で一杯だったが、快く案内してもらえた。提供時間は、7:45〜10:00(土日12:00)。
早朝ツアーに参加する人は、事前に予約しておけば、ライトミールを準備してくれる。英語をしっかり話せる人であれば、何でも対応してくれそうな雰囲気だった。大都会ながら閑静な立地で、ホスピタリティにも不満はない。
1万歩で行ける観光名所
ホテルからヴィクトリア駅まで徒歩8分、コーチ・ステーションまで徒歩3分。ヴィクトリア駅は、ロンドン主要のハブ駅だ。観光には、すこぶる都合がよい。ロンドン初日に、ホテルから1万歩で戻ってこれる観光名所を歩いてみた。
ウェストミンスター寺院
ヴィクトリアSt.を北東へ歩くと、ほどなくして英国王室の戴冠式が行われる「ウェストミンスター寺院」に辿り着く。現在の建物は、13世紀のヘンリー3世の時代に完成した。王室との関係が深く、エリザベス2世(1953年)、チャールズ3世(2023年)の戴冠式もここで行われた。
ウェストミンスター寺院の公式「Abbey Shop」で、王室にちなんだギフトも購入できた。
時計台ビッグベン
チャーチル首相の銅像が建つ、パーラメント・スクウェア広場を抜けると、テムズ河の流れるウェストミンスター橋が見えてくる。ロンドンを象徴する「時計台ビッグベン」と国会議事堂を背景に、記念写真を撮影する観光客でいっぱいだった。夜には時計の文字盤がライトアップされて、その美しさが際立つ。
パーラメントSt.を北上する。所々に需要の無くなった赤い公衆電話が残されていた。この赤い公衆電話もロンドンのアイコンのひとつで、観光客が撮影しているのをよく見かけた。
ホース・ガーズ
近衛騎兵隊「ホース・ガーズ」で、赤い軍服を着た騎兵を横目に通り過ぎる。ホース・ガーズには、イギリス陸軍「王室騎兵衛兵隊」に所属する兵士たちが駐留しており、ここでも衛兵の交代式が見れる。
トラファルガー広場
そして「トラファルガー広場」に到達する。ここまで約5千歩。この広場は、1805年の「トラファルガーの戦い」に由来し、イギリス海軍がフランス・スペイン艦隊に勝利した海戦にちなんだもの。戦死したイギリスの英雄ネルソン提督を讃えるために建設された。現在も地元の人々に愛される広場の噴水が美しい。
折り返して、セント・ジェームズ公園を歩いていると…
タイミングよく衛兵のパレードが始まった。あちらこちらから、衛兵さんが集まってくる。一度は見てみたかった衛兵のパレード。かなり格好いい。衛兵の交代式は毎日午前中に行われるが、季節によって時間が変わるので注意しよう。
バッキンガム宮殿
最終の目的地は、「バッキンガム宮殿」。イギリス王室の公式居住地にして、ロンドンを象徴する最大の見どころのひとつ。衛兵の交代式が行われる場所としても有名だ。11時から衛兵の交替式が始まった。ただ、バッキンガム宮殿に近付いてしまうと、1時間は人混みから抜け出せないので覚悟しよう。そのあとホテルに戻ると、ちょうど1万歩だった。
地下鉄で行ける観光名所
地下鉄を使えば、市内の観光名所にも簡単に行ける。
タワーブリッジ
ライトアップされたタワーブリッジ。1894年に完成したテムズ川を横断する美しい吊り橋で、そのユニークなデザインと歴史的な背景から、ロンドンで外せない観光名所になっている。橋の2つの塔の上部に展望台が設けられており、ロンドンの眺望を楽しめる。運が良ければ、大型船が通過する際に、跳ね橋を見ることもできる。最寄り駅は、タワーヒル駅 (Tower Hill Station)
ザ・シャード
95階層、高さ310mのザ・シャードは、ロンドンで一番高い建築物。東京タワー333mにも匹敵する。展望台をはじめ、高級ホテルや高級マンション、オフィスが配置されている。最寄り駅は、ロンドン橋駅(London Bridge Station)
ロンドン・アイ
ロンドン・アイは、テムズ川のほとりに位置する大観覧車。高さ135mは、ヨーロッパで最も高い観覧車でもある。ガラス張りのキャビンが32基、それぞれ最大25人が乗り込め、1回転するのに30分を要する。乗りたい人は、最低でも30£(6,000円)以上必要。最寄り駅は、ウェストミンスター駅 (Westminster Station)
大英博物館
世界的に有名な大英博物館や、ナショナルギャラリー。膨大な収蔵品を誇り、世界中の歴史、文化、芸術に関する貴重な資料が展示されている。入館は無料なのだが、ネットで事前予約が必要なので注意しよう。
キャッシュレス先進国
イギリスは、キャッシュレス先進国でもある。ロンドン在住YouTuberの動画を見てきたので、1円もポンドに両替しなかった。コロナを境に、チップの風習も無くなりつつある。公衆トイレは無料。枕銭も不要。現金を受け取らない社会に変貌した。
地下鉄は、日本のクレジットカードが使える。Suicaのようなオイスターカードを作ることもできるが、7£(約1,400円)のデポジットが必要なので注意しよう。
ロンドンバスやブラックキャブも、現金は使えない。乗る時にタッチ決済するだけ。降りる時はタッチ不要。いくら乗り継いでも、1時間以内であれば、1.5£(約300円)で移動できる。
ちなみに、バス停に立っていても、手を挙げて合図しないと、バスは止まってくれない。まるでタクシーみたいだ。
ダブルデッカーの2階は、眺望が良い。降りたい時は、降車ボタンを押す。アナウンスが聞き取れなければ、電光掲示板を確認するとよい。乗る時も降りる時も、意思表示しなければ止まってくれないのだ。
キャッシュレス先進国では、小銭を準備する必要もなく、ストレスフリーで滞在できる。今回の旅で現金を使用したのは、関西国際空港の自販機だけ。水を購入したら、大量に10円玉のお釣りが出てきた。げげげっ!元カード会社社員として、まだまだ日本は遅れていると感じざるを得ない。
コメント