天空の聖地・高野山。
世界遺産の高野山には、宿坊と呼ばれる宿泊施設を兼ね備えた寺が多く存在します。
今回、真田家ゆかりの「蓮華定院」に宿泊し、勤行を行って参りました。
この記事では、「蓮華定院」の宿坊体験と高野山の魅力を紹介します。
真田坊「蓮華定院」
蓮華定院
高野山は、標高約800mの山上盆地で、冬は厳寒の地になります。関ヶ原合戦で敗北した真田親子は、徳川家康の裁定で高野山へ蟄居を命じられました。
真田家ゆかりの菩提寺「蓮華定院」は、真田昌行・信繁(俗称:真田幸村)親子が、九度山に移住するまで暮らしていた寺です。2016年の大河ドラマ「真田丸」は記憶に新しいですね。
蟄居とは、江戸時代に武士または公家に対して科せられた刑罰のひとつ。閉門のうえ自宅の一室に謹慎させること。
蓮華定院は、金剛峯寺のある高野山の中心地から250mに位置しています。門をくぐると、庭の枯山水が広がっていました。庭園は、四季折々に手入れされるそうです。
2つの家紋
家紋は2つ。六文銭と結び雁金。
六文銭は、三途の川の渡し賃と言われ、決死の覚悟で出陣することを意味します。大阪夏の陣で徳川家康を追い詰めた武勇伝が、伝説として残っています。
結び雁金は、雁の両羽を円形にねじった紋で、幸せを運ぶ鳥から絆の意味が込められています。
宿泊部屋と共有施設
受付で宿泊費を前払いします。クレジットカードが使えました。駐車場は無料です。
鴨居の天狗。
長い廊下を歩くと、立派な庭池が見えてきました。たくさんの鯉が近付いてきます。蓮華定院は、高野山のなかでも標高が高く、紅葉に染まる季節は厳しく冷え込むそうです。
私達の部屋は、6畳和室のエコノミールーム。隣の部屋とは、施錠された襖で仕切られていますが、廊下の障子に鍵はありません。隣人の声がよく聞こえます。貴重品はセキュリティボックスへ預けます。
アメニティは無く、浴衣とタオルのみ用意されていました。うれしいフリーWiFi。コンセントが2口ありますが、加湿器と暖房機で塞がっていました。電化製品を持ち込む場合は、電源タップの準備が必要です。
2階に共同の洗面所とトイレ。ウォッシュレットは付いていません。勤行と夕食時間を考えると、入浴時間に余裕はありません。寺院のなかに、ビールの自動販売機がありました。修行僧の方々も、お酒を嗜まれるそうです。
くつろいで庭を眺めると、穏やかな気持ちになります。江戸時代から続く庭園は、修行僧の方々が、毎日手入れされているそうです。
エコノミールーム宿泊は、大人2人30,000円から。デラックスルーム宿泊は、大人2人60,000円から。デラックスルームは、中庭に面した個室になっており景色を楽しめます。
勤行体験
高野山は、弘法大師(空海)が開いた真言宗の総本山。ご本尊は阿弥陀如来。本堂は、1860年に真田家により再建されたものです。
勤行とは、仏教用語で、修行や毎日定時に読経することをいいます。宿坊体験のスケジュール表をいただきました。
・夕方の勤行:PM5:00~
・夕食:PM6:00~
・入浴:PM6:30~・朝の勤行:AM6:00~
・朝食:AM7:00~
・チェックアウト:AM10:00まで
夕方の勤行は、阿字観と呼ばれる瞑想です。最初に瞑想の作法を教わり、続いて40分の瞑想に入ります。心の中が、空っぽになる筈なのですが…とても辛
い…姿勢を維持するのも窮屈で、邪念が多くていけません。
朝の勤行は、読経40分、続いて20分の法話を拝聴します。読経の合い間に、順次ご焼香が回ってきました。なお、朝夕の勤行は、参加自由で無料です。
精進料理
宿坊体験で、楽しみのひとつが精進料理。提灯に灯りがともり、院内もライトアップされ、寺というより料亭の雰囲気です。
枯山水の陰影も際立ちます。
真田家一族が一同に会食した空間でいただきます。
精進料理は、高野山の名物である胡麻豆腐や高野豆腐を使用した料理です。肉や魚は無いものの、素材が色どりよく盛り付けられています。ご飯のおかわり自由で、デザートも付いていました。
精進料理は、仏教の戒に基づき、殺生や煩悩への刺激を避けることを主眼とします。 使用禁止の食材は、 ①肉・魚・卵等の動物性食材 、②五葷と呼ばれる野菜(ニラ・ニンニク・ネギ等)
こちらは、朝の精進料理。薄味で質素なものですが、美味しかったです。
真田家墓所
真田家の墓所へお参りします。場所は、敷地の通路を抜けるとすぐ。高野杉に囲まれた空間は、ひときわ静けさが際立ちます。立派なお墓ですね。
蓮華定院のアクセス
蓮華定院
・和歌山県伊都郡高野町高野山700
・電話 0736-56-2233
・京奈和道かつらぎ西ICから車50分
・ケーブル高野山駅からバス
真田幸村の人物像
戦国武将のなかでも人気の高い真田幸村。しかし、実際に「幸村」を名乗ったことはなく、死ぬ前日まで「信繁」を名乗っていたことが記録に残っています。
緋色の兜
真田幸村といえば、緋色(濃い赤色)のイメージですが、実際の兜は黒だったようです。蓮華定院の僧侶曰く、幸村の武勇伝が偶像化され、派手な赤のイメージが定着したようです。
真田幸村の名言
◎狙うは徳川家康の首ただひとつのみ
◎わしの首を手柄にされよ (家康の家臣に討ち取られる前の最後の言葉)
◎恩義を忘れ、私欲を貪り、人と呼べるか
◎人の死すべき時至らば、潔く身を失いてこそ、勇士の本意なるべし (命を捨てても目的を果たすべき時は、潔く玉砕してこそ真の勇士である)
◎いざとなれば損得を度外視できるその根性、世の中に、それを持つ人間ほど怖い相手はない
◎夢をつかんだ奴より、夢を追っている奴の方が時に力を発揮する
◎部下ほど難しい存在はない
◎主君のために死ぬのは武士の習い
高野山の見どころ
2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として、3つの霊場(吉野大峰、熊野三山、高野山)と参詣道(熊野参詣道、大峯奥駈道、高野参詣道)が世界遺産に登録されました。
高野山 奥の院
無数に立ち並ぶ樹齢数百年の高野杉。20万基以上の墓碑が建立し、霊地として文化的景観をつくりあげています。その墓標には、織田信長、武田信玄、上杉謙信、石田三成、明智光秀、豊臣家などの名前が刻まれています。
御廟橋の奥に、弘法大師(空海)の御廟があり、いまもなお瞑想を続けてるそうです。弘法大師の教えに「生かせいのち」という言葉があります。「1日1日を大切に生きなさい」という意味です。
金剛峯寺
金剛峯寺の歴史は、1,200年前の平安時代に始まり、真言宗の総本山とされます。柳の間は、豊臣秀次が切腹した部屋として有名です。
壇上伽藍
壇上伽藍とは、弘法大師が曼荼羅の思想に基づいて創建した密教伽藍の総称。赤い根本大塔が高野山のシンボルです。
女人堂
女人堂は、蓮華定院から歩いて数分に位置する不動坂口にあります。女人禁制の時代、女性はここまでしか入山できませんでした。大日如来、弁財天、神変大菩薩が祀られています。
徳川家霊台
蓮華定院から歩いて数分に、徳川家の霊台があります。将軍徳川家康と2代将軍秀忠を祀る霊屋です。真田家「六文銭」と、徳川家「葵の御紋」が、わずかな距離に祀られていることが不思議に感じられます。
宿坊は、通常のホテルにはない非日常体験ができます。コロナ以前には、外国人観光客も大勢宿泊していました。おみやげに、熊平の梅干しを購入しました。このお店は、梅干しの種類が豊富で、どれを買うかいつも迷います。こんぶ梅、おすすめで
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