
セティ・アブシンベル・レイクリゾートホテル(SETI ABU SIMBEL TOURISTIC VILLAGE)に宿泊することができた。
アブシンベルの湖畔にあるこのホテルは、「アブ・シンベル大神殿」とネフェルタリの「ハトホル神殿(アブ・シンベル小神殿)」の観光拠点となるリゾートホテル。
エジプト旅行において、アブ・シンベル神殿の観光は、アスワンから日帰りするバスツアーがポピュラーだ。しかし、往復600kmの距離を約6時間で移動し、現地滞在時間わずか60分ほどの慌ただしい観光となる。
アブ・シンベル神殿は、世界遺産という概念が生まれた貴重な遺産。せっかくならアブシンベルに宿泊滞在して、音と光のショーや朝陽に輝くラムセス2世像を堪能したい。
アブ・シンベル神殿
アブ・シンベル神殿は、エジプト南部、ナセル湖のほとりにある壮大な古代エジプトの神殿。紀元前13世紀頃、第19王朝ラムセス2世によって建造された。アスワンハイダムの建設によりナセル湖に沈むはずだった神殿は、ユネスコと世界各国の協力により移築して水没を免れることになり、のちの1979年に世界遺産登録された。ちなみに1978年に初めて世界遺産に登録されたのは、ガラパゴス諸島など12の遺産である。

ツアーバスに乗り込み、アスワンからサハラ砂漠を300km横断する。アブシンベルに向かうバスは、走っても走っても黄色い砂漠しか見えない。

セティ・アブシンベル・レイクリゾートホテルには、さらにボートに乗り換えてナセル湖を進む。救命胴衣を着用して意外に本格的だ。ボートの前方には、内戦が続くスーダンが見えてきた。テロが頻発する極めて治安の悪いスーダンは、外務省からレベル3の「渡航中止勧告」が出ている。

ほどなくして、湖上に大神殿と小神殿の裏側が見えてきた。コンクリートの山に移築された神殿の背面が、こんなふうになっているのかと興味深い。のっぺりとした裏側からは、ただの小高い丘にしか見えない。

ボートが、ゆっくりと大神殿の正面に回り込む。

初めて見るアブシンベル大神殿に感動。高さ21mの4体のラムセス2世像。湖上からまだ距離があるのだが、大神殿が巨大すぎて人間が豆粒のように見える。ラムセス2世像が4体もあるのは、ラムセス2世の神格化と、偉大な権力を後世に伝えるためだと言われる。
セティ・アブシンベル・レイクリゾートホテル

さて、本日宿泊するセティ・アブシンベル・レイクリゾートホテルが見えてきた。
このホテルは、アブ・シンベル神殿に近い唯一の高級リゾートホテル。ナセル湖を見渡せる絶好のロケーションにあり、プールやレストランを兼ね備えたリゾートホテルとして、世界中の観光客を楽しませる。「セティ」の名前は、古代エジプトのファラオ、セティ1世に由来している。

ボートがナセル湖岸のホテルに停泊し、暑い日差しと相まってリゾート気分が盛り上がる。

ホテルの敷地へ入ると、ラグジュアリーな庭園が出迎えてくれる。夏の気温は60度近くになるが、冬は暖かくて過ごしやすいそうだ。

アラブ建築様式のフロントでチェックイン。ウェルカムドリンクに、酸っぱいハイビスカスティーをいただいた。

ホテルの部屋は、全室ヴィラタイプ。

老朽化は否めないものの、エキゾチックな配色の広くて開放感のある部屋だった。

調度品や装飾品もエジプトっぽい。古代エジプトのエッセンスが散りばめられている。

バスタブはあるが、どう頑張っても床が水浸しになるタイプ。ドライヤーもあり、最低限のアメニティは揃っている。ポットがあるので、持参したコーヒーが飲めた。

テラスから眺めるナセル湖は、切り取った絵画のように美しい。

プールに映る椰子の木と、ナセル湖に沈む夕陽の景色が最高だ。
音と光のスペクタクルショー

夜は、なんといっても音と光のショーが楽しみ。
アブ・シンベル神殿の歴史を物語る、音と光のスペクタクルショー。物語のナレーション言語は、当日もっとも多い観光客の国籍で決まる。訪れた日は、なんと日本語だった。

アブ・シンベル大神殿は、ラムセス2世を崇拝するためのもの。高さ20mの4体のラムセス2世像が、堂々とライトアップされている。

そして隣に、第一王妃ネフェルタリをまつるハトホル神殿。こちらはラムセス2世とネフェルタリの像が並んでおり、ラムセス2世の愛情を表現しているようだ。
この音と光のスペクタクルショーは、宿泊者だけが楽しめる特権である。
朝陽に輝くラムセス像

翌朝、まだ暗いうちに神殿に向かう。人通りは寂しく夜の静けさが残っている。

あちらこちらから観光客が集まってきた。そして地平線に朝陽が昇る。
年に2回(10月22日と2月22日)「太陽祭」が行われる。日の出の光が神殿の内部まで差し込み、ラムセス2世像が光で照らされる「太陽の奇跡」を観察できる。

ラムセス2世像が朝陽に輝いている。朝・昼・夜でラムセス2世像の色が変化する。すべての色を見ることができて満足。世界遺産好きとして、感激もひとしおの旅になった。
アブシンベル神殿は、ぜひ宿泊して観光することをおすすめします。
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